*咲希のお話部屋*

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現在エブリスタにて

『いい女の条件~彼から学んだ事』
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 ➤ 高校時代

結局、その日の夜も眠れず…

朝を迎えた。



もう…諦めよう…

このまま好きでい続けたら

この先…もっと辛くなる。


早く諦めていれば
ここまで傷付く事もなかったのに、、と
心に渦巻く…後悔の気持ち


未練がましく
ズルズルときてしまった自分に

とてもとても…腹が立って


“…情けない…“


その言葉だけが
頭の中をぐるぐる回る。


フラフラになりながら
何とか身支度を整え
学校へ行く準備をした。


ふと、スマホを見ると
雄大からLINE が

日付は昨日。


『突然帰ったりして…何かあった?

急用とかウソだろ?』


彼は何でもお見通し。

そりゃ、突然帰れば
おかしい…って思うよね。


もう…いちいち説明するのも面倒なので


一言…彼に送った。


『もう…諒太の事は諦める。』


すると


学校へ行く前だと言うのに
送って直ぐに
電話がかかってきた。


「…もしもし?まゆ?
どういう事??」


雄大にしては珍しく
取り乱したような大きな声


「…別に…書いた通りだよ…」


彼にに追及され
再び、昨日の出来事を思い出し
嫌な気持ちになる。


もう…何も考えたくない…

 
そう思って黙っていると


「お前、今日学校何時に終わる?」


「えっ?」


「部活あるの?」


「ううん…ない。3時には終わるけど…」


「じゃあ、学校終わったら

待ち合わせして、一緒にお茶しよう。」


「…?何で?」


「たまにはいーじゃん。嫌?」


「別に…嫌じゃないけど、、、、」

「じゃあ、決まり。

放課後、また連絡する!」


一方的に言われ


電話を切られた。





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*

放課後…


憂鬱な気分で
雄大との待ち合わせのカフェに向かった。


制服のまま1人でお店に入るのは
何となく抵抗があって
店の外で立って待つ事にした。


彼が私を誘うのは珍しく
ましてや、学校帰りに
待ち合わせをするのは、初めてだった。


「私が余計な事言っちゃったから…
きっと心配してるんだよね、、、」


彼が優しいのはいつもの事だけど


何だか…とても申し訳ない気持ち。


しばらく待ち、チラリと時計を見ると
約束の時間を5分過ぎていた。


「雄大が遅刻なんて…珍しいな。」


約束の時間になっても
雄大は来ない。


どうしたんだろう?…と
思った瞬間
雄大からLINE が入った。


♪~♪~♪


『ごめん、少し遅くなる。

お店の中で待ってて!』


…どうしよう


1人でお店に入るのは
さすがに勇気がいるな…


でも、お店の前で
ずっと立っているのもな…


ちょっぴり困りながら
ボーッとしていると



「佐藤?」


声をかけられた。


目の前にいたのは
クラスメイトの…〈沢木純平〉くん。


「沢木…くん?」


普段は制服なのに
私服だったせいだろうか…

何だか…別人に見えて
声をかけられても
一瞬、誰だかわからなかった。


バスケットが凄く上手で
一部の女子の間では
人気がある人だけれど


背の高さと
淡々と話すクールな表情が
…ちょっぴり怖くて


同じクラスなのに
殆ど喋った事は…なかった。


「何やってんの?」


「何って、、、

ちょっと人を待っていて、、、」


彼の威圧的な話し方に
ちょっぴりドキドキしながら
返事をすると


「ふーん。」


彼はそう言いながら
何故か私の横に立った。


何で…横に立つの?


何だか、緊張して
変な汗が出てくる。


話題が無いし、、気まずい、、、、


早くどこかへ行って欲しい、、、


そう思いながら、黙って俯いた。


別に悪い人ではないと思うし


顔もかっこいいけど…


何て言うか…


オーラが苦手。


笑顔もあまりないし
何を考えてるのか…全然わからなくて


話しにくい。


早く帰ってよ…と 
思いながら
再び横目でチラリと彼を見た。


バチっと視線が合い
慌てて目線を外す。


「待ってるって、男?」


そんな私の顔を
覗き込むように
再び話しかけてくる彼。


真っ直ぐ過ぎる視線に


変な汗が吹き出てくる。


「幼なじみだよ」


私が言うと



「もしかして…山田雄大さん?」



予想外の言葉が出てきた。







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*

「え?…雄大の事知ってるの?」


もう一度彼の方を見ると
彼は「よく知ってる」と、言った。


確か彼は…大里中。

私と雄大は、北中。

学年も高校も違うし

接点はないはずなのに…


何故…知り合いなのだろう?


少しの間…考える





あ…



「もしかして…バスケ?」


「うん。」


そうだった。


今は進学校で
部活を辞めてしまったけれど
雄大は、中学の時にバスケをしていた。


私は、試合を
観に行った事は
殆どなかったけれど…

雄大もかなり上手で
スポーツ推薦の話もあったって聞いてた。


「合同合宿とかで
一緒になる事があってさ。

雄大さんとは
結構仲良かったの。

んで、雄大さんの弟も
同じ高校受けるって聞いてたから

入学してから探したの

そしたら

その弟の横には
いつも佐藤がいて…。」


「私?そんなに一緒にいた?」


「仲がいいから
彼女だと思ってた。

周りもそう思ってたんじゃないかな?


後で別に彼女がいるって聞いて
驚いたけど…


仲良かったのは
幼なじみだったからなんだな。」


「………」



今…諒太の話を聞くのは 


正直…キツかった。


幼なじみじゃなくて 


彼女だったら…

どんなに良かった事か…


「そん時に…興味持ったんだよね


佐藤の事。」


「えっ…?」


「こうやって

2人でゆっくり話したいって

いつも思ってた。」


彼はそう言うと


今まで見たこともないような
イタズラっぽい笑顔で


にっこりと笑った。




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*

突然、ドキッとする事を言われ

思わず身構えた


すると彼は


「おいおい、そんなに構えるなよ(笑)」


そう言いながら、大笑いした。


クールな人だと思っていたけれど
こんな風に笑うんだ…


彼の柔らかい笑顔を見て
今まで抱いていた彼のイメージが
少しずつ変わっていく


何かを考える暇もなく
次から次へと話しかけてくるから


気がつけば
彼のペースにはまり
肩に入っていた力が
ストンと抜けていた。


彼は、意外にも気さくな人だった。


いや


気さくと言うよりも
直球でグイグイくる人だった。


「ねぇ…佐藤って彼氏いるの?」


「え?…いないけど。」


「じゃあ、俺と付き合わない?」


「は?…何言ってんの?」


まともに喋ったのが
今日初めてなのに…
この人は何を言っているのだろう?


あまりの展開に
頭がついていけない。


「冗談だと思ってる?」


「だって、いきなり…
普通ありえないでしょ?」


「ありえなくもないよ。

佐藤は俺の事
よく知らなかったかもだけど

俺は佐藤の事、良く知ってるから。」


「知ってるって、、、
  
ロクに話もした事ないのに?」


「顔がタイプなんだよね。」


「何…それ?…訳わかんない。」


おちょくられて…いるのだろうか?


高校に入学してから
何人かの人に告白されたけれど


こんなに軽い感じで
付き合おうなんて言われたのは
初めてだった。


そもそも、これほどカッコ良くて
モテる人が
彼女がいない訳がない。


「沢木くん、彼女いるんじゃないの?」


「今はいないよ。」


「うそ。」


「本当。」

「だって、、、モテるでしょ?」


「それは、お前だって同じだろ?

佐藤は、告白しても
絶対にOKしないって、噂になってる。」


自分の知らないところで


そんな噂が立っていたなんて
驚きだった。



「誰とも付き合わないのは…







山田諒太が好きだから?」



突然、急に真剣な目つきになって


彼は、私をじっと見つめた。




「え?」


「違うの?」



そのストレートな一言に



一気に身体が熱くなる…



彼の、真っ直ぐ向けられた視線に
目をそらす事が出来ない。



みるみるうちに脈が上がり



息が…




止まりそうになった。





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*

彼に図星をつかれ
動揺を隠せない私


大きく深呼吸をして
何とか冷静になろうとするも


頭がうまくまわらない


おちつけ、おちつけ…


そう思うのに


気持ちとは裏腹に
僅かに…身体が震えてきた。


「何故…そう思うの?」


「そんなの、ずっと見てりゃわかるよ。」


そう言えば


雄大にも…同じ事言われたな。


「でも、あいつ彼女いるんだよな?」


彼女がいる人を好きなのは
不毛だと言いたいのだろうか?


不躾な質問と


彼の、何もかも見透かしたような瞳に


次第に…

 
怒りがこみ上げてくる。


あんたに


私の何がわかるの?


彼女がいる人を
好きになっちゃいけないの?


どんな思いで


私がずっと


諒太の事を思ってきたか…


昨日の出来事がまた、頭に浮かび
涙が出そうなる


「あなたには関係ないし

言いたくない…」


堪えきれなくなりそうで
歯を食いしばり、目をギュッと閉じた。


……泣くもんか‥


この人の前でなんか


絶対に…


泣くもんか‥…


何かを喋ったら
涙が溢れそうで


私は黙って俯いた。


しばらく気まずい沈黙が続く。



早くどこかへ行ってよ


ここからいなくなってよ


そう思うのに


沢木くんは
ずっと私の横に立ったままだった。


しばらくして


彼は、口を開いた。


「ごめん…言い過ぎた。」


さっきまで 
ズカズカと人の心に
土足で踏み込んできたくせに



急に、本当に申し訳なさそうな



優しい声で話してきたから…



その瞬間


我慢していたものが


一気に溢れ出てしまった。





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*

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