*咲希のお話部屋*

私の過去&小説 etc…

最新情報、更新情報などは
Twitterにて発信しております★

右側のカエル姿の私の画像をクリックしてください♪


現在エブリスタにて

『いい女の条件~彼から学んだ事』
↓↓↓
https://estar.jp/_novel_view?w=25347542

アップしています。

 ➤ 高校時代

どうしよう……


もう直ぐ……純平が来てしまう。


誕生日のサプライズで
バイトを始めて

その事がきっかけで
剛と関わる事が増えて
こんな事になったとバレてしまったら…

「お願い…

純平にだけは言わないで欲しい。

バイトはね、純平の誕生日プレゼントを
買う為に始めたの。

だから、今は…知られたくない…」


「そんな事言ってる場合じゃないだろ?」


「そんな事って…!

私にとっては、凄く大事な事だよ!!

雄大には助けて貰って感謝してる。

……でも

これは、私の問題だし
今は、そっといておいて欲しい!!」

やや声を荒げて彼に訴えた。

真剣な眼差しで
彼をじっと見つめる。

早く話を切り上げたかった。




けれども……

「……それは無理だ。」

「何で?!」

「お前が心配だから。」

「だから、私がいいって言ってるじゃん!!
何でそこまで雄大に
指図されなきゃならないの?

お願いだから…ほうっておいてよ!!」

半分叫ぶように声を張り上げる。


もう話は平行線だ…

悔しいの悲しいのか
涙がじわりと浮かび

私は隠すように、再び彼に背を向けた。


すると…


「……ゴメン…」


雄大は静かに謝った。


「俺は……お前のあんな怯えて苦しむ姿…
もう二度と見たくないんだよ。」

「……雄大…」

彼の眼差しが
痛いくらいに刺さって

胸がズキンと響いた。


「………ごめんなさい。」

「保護者ずらされて
ウザイって思われてるかもだけど…

そうじゃない。

俺がお前を心配するのは…

お前が好きだから。」

「…………うん、わかってる。」

「いや、わかってない。」

「え?…」

「お前、何もわかってない。」

雄大の言いたい事の意味がわからず
思わず首を傾げる。

「わかってないって…どういう事?」

「俺の言う好きは、家族愛とかじゃないよ。」

「……え?」

「意味、わからない?」

雄大なちょっぴり困った顔をして
ふぅ…と、ため息をついた。





「お前の事、ずっと好きだった。

子供の頃から…」


明らかにいつもの雄大とは違って
少し低いトーンで話すから…


目が…そらせない。

何て答えていいのか?
言葉に詰まってしまった。

「お前が諒太を好きだって
ずっと前から気づいてた。

だから、俺は…

ずっと自分の気持ちを言わなかった。

諒太なら……

諒太なら安心して
お前を任せられると思ったから。



……けど、、、」


「……っ、諒太には彼女が…」


諒太に彼女が出来て
落ち込んだ時の事を思いだす。


本当に…あの時は
地獄のような毎日だった。


「そうだな…」


彼はポツリとそう言うと
愁然として頭を垂れた。

「私……

純平のお陰で立ち直れたの。

純平がいなかったら
きっと、ずっと
メソメソしていたかもしれない。」


私の言葉に
雄大は静かに顔を上げた。


「雄大が、私を
想ってくれていたのは嬉しい。

私も、雄大の事…大好きだから。

でもね

今、私が一番に会いたいのは
純平なの。

いつも頭の中に浮かぶのは
彼なの…

だから………


ごめんなさい。」


残酷な言葉をかけているのは
わかっていた。

でも、自分も…

下手に期待をしてしまうような
曖昧にされるのは 
嫌だったから…

ここは、はっきり言いたかった。

雄大の為にも…


……けど…


雄大の気持ちを思うと
涙が溢れてくる。

彼も私と同じだったのだ。

彼は一体
どんな覚悟で
私に気持ちを伝えたのだろう。

ずっとずっと
秘めていた思い。

本当は、こんなタイミングで
言うつもりじゃなかったはず。

それを思うと
苦しくてたまらない…

ギュッと拳を握り締め
目を瞑り、唇も噛み締める。

けれども、我慢しようとすればするほど
次から次へと涙が溢れてきて




もう…止まらなかった。


「俺の方こそ、ごめん…
泣かせるつもりじゃなかった。」

雄大の声が頭上から
僅かに聞こえた瞬間…



「……まゆ!」


走ってきたのか

息を切らせ
ハァハァとした純平がやってきた。

「じゅん……ぺい…」

涙でグチャグチャな顔の私を見て
驚いた顔。

「まだ泣いてたのか?
一体、何があったんだよ?」

キッと、雄大を睨み付け

「雄大さん、これ…どういう事ですか?」

「……純平、違うの…これは私が…!」

私が弁解しようにも
彼は、きかない。

きっと、さっきの電話も
雄大がからんでいると
誤解している…


「雄大さん!」


純平の声が静まり返った場所で
大きく響く。

すると

ふぅ…と、溜め息をつきながら

雄大が静かに話し始めた。






「こんなに夜遅く出掛けたら
危ないだろ…って説教してたんだよ。

……ゴメン

泣かせるつもりじゃなかった。」

彼はそう言うと
申し訳なさそうに頭を下げた。


違う…

雄大は悪くない。

私が勝手に泣いただけで、、、


手を伸ばし
そう言いたかったけれど

どう言い訳をしても
この状況の中
彼の立場を
悪くしてしまうような気がして



何も言えなかった。

「純平、あまりまゆを
遅くに連れまわすなよ。

何かあったらどうする?」

雄大が真剣な顔をして
純平に詰め寄る。

すると

「何かあったら
全て責任とりますよ。」

「全て…ねぇ…」

純平の迷いのない言葉に
ふぅ…と溜め息をついた。

そして、チラリと私を見つめ
少し諦めたような、困った顔をした。

「まゆ、あまり遅くならないようにな。
俺だって、いつまでもフォロー出来ないぞ。」

「……うん、わかってる。」

ポンと私の頭を叩くと
雄大は、純平に目配せをし
そのまま家に戻っていった。

チラリと純平の顔を見ると
口に手を当てて
何かを考えているような顔。

「純平?」

声をかけても
何も返事がない。

「純平!!!」

再度、呼ぶと
ハッとした顔。

「……ゴメン。」

珍しく、純平が素直に謝るから
びっくりする。

「……どうしたの?」

彼の顔を覗き込む。

すると

「いや…雄大さんの言う事も
もっともだな…って。」

「え?」

「俺、お前に会いたくて
思わず来ちまったけど、、

よくよく考えたら
女子高生を深夜に呼び出すとか
非常識だよな。」

「何を…今更!

散々深夜に呼び出してんじゃん!
酔っ払って電話してきた事もあるし。」

「はは…だな。」

「そうだよー!」

2人でふふ…っと笑う。

そして

視線がぶつかった瞬間…




どちらからとなく
自然にキスをした。


深夜の…

しかも

自宅前なんて…


けれども


そんな事を心配する余裕もない程
私は、純平の温もりを欲していた。


彼の唇で

全てを浄化して欲しかった。


「まゆ…」


彼の声が
耳元で響く。


それだけで
全身がビビッと
雷に打たれたかのように


彼への思いが溢れ…巡っていく。


剛の事や雄大の事が心配なのに……


さっきまで、それで悩んでいたのに…


彼と触れあっているだけで
今のこの幸せを優先してしまう自分。


いけない……と、思いつつも


もう目の前の彼しか見えない程
私は、彼に溺れていた。






結局、雄大の言葉もあり
何となく出歩く事に抵抗を感じ…

家の前で、少しだけ立ち話をする事になった。

電話口で泣いてた事を
もっと追及されるかと思ったけれど
彼は何も聞いて来なかった。

けれども

さっきの雄大の様子がおかしかったと
何かを感じたようで
複雑な顔をしていた。

「さっきさ…

雄大さんが、もうフォロー出来ないぞって
言ってたけど…
何か…あったのか?」

「えっ?」

こういう所は、本当に鋭い。

「俺の知らない所で
雄大さんとまゆだけが知ってる秘密とか
そう言うの嫌だからな。

何かあれば、まず俺に言えよ。」

突き刺さるような視線。

真っ直ぐに見つめられ

後ろめたさから
目を逸らしたいのに…
身動きがとれなくなる。

と、同時に

“何かあったのか?“

その言葉に反応してしまい
今日の出来事が
突然フラッシュバックし
気分が悪くなった。

フラリとする身体を
何とかもたせようと試みるも

色んな思いが溢れ出て
意識を失いそうになる。

そのまま彼の胸の中に
倒れるように飛び込んだ。

「……まゆ?」

「……お願い。
今は、純平の事だけ考えていたい…」

誤魔化すようになってしまったけれど
本当に心の底からそう思った。

今はただ…

彼の温もりで
心の乱れを治したい。

辛い気持ちを…

救って欲しい…

訴えるような瞳で
彼を見つめた。

彼は、そんな私に応えるかのように
ぎゅっと抱きしめてくれた。

静かに目を閉じ
彼の背中に手をまわす。

次第に心が落ち着いていくのが
わかった。

と、同時に
今日の出来事を純平に言えない事を
苦しく、後ろめたく思った。

元々、秘密を作る事も
嘘をつく事も
苦手なのだ。

《肝心な時に頼れない人を
彼氏って呼べるのか?》

雄大の言う通りだ…

私の彼氏は…

一番頼りたいのは、純平。

だから…ちゃんと話したい。

でも……

誕生日のプレゼントを買う為に
バイトをしたと彼が知ったら?

奈津さんが
しむけた事だと知ったら?

きっと彼は
心を痛めるだろう。

全ては…

私が剛くんに
毅然とした態度を
とれなかったのがいけなかったのだ。

そんな思いが邪魔をして

話したいのに

どうしても言えなかった。




↑このページのトップヘ