*咲希のお話部屋*

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現在エブリスタにて

『いい女の条件~彼から学んだ事』
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 ➤ 高校時代

家に帰ってからも
幸せの余韻に浸っていた。

部屋のベッドでゴロゴロしていると
夕方、母親におつかいを頼まれた。


「これ、お向かいにお裾分け。

持っていって。」


鍋に入った
大量のカボチャの煮物


「こんなシブい物

…迷惑なんじゃない?

しかも…大量だし、、、」


「何言ってんの?

諒ちゃんは、カボチャ大好きなんだよ。

絶対に喜ぶから!!」


自信満々の母に言われ
両手で鍋を抱え
山田家に向かった。


「こんにちはーー!」


両手が塞がっている為
足でドアをゴンゴンと叩きながら
大声で叫ぶ。


部活が終わり
もう…帰ってきている時間。

基本、部活がある日は
美優ちゃんには会わないので
もしかしたら…出てくるかも…。

ドキドキしながら待っていると




諒太…ではなく


雄大が出てきた。


「びっくりした~!
 まゆかよ(笑)

あれ、鍋?おばさんから?」


彼がチラリと鍋に視線を移す。


「うん。カボチャの煮物だって。」


「へぇ~嬉しいね。ありがとう。」


その後、雄大が何か話していたけれど
そんな言葉は上の空で…

私は、諒太がまだ帰ってきていないかと
玄関の靴を、チラチラと横目でチェックしていた。

そんな私の様子に気付いて
笑い出す彼。


「諒太はまだだよ。

帰ってくるまで待ってる?」


「あ、、、、いや、、、

別に、、、」


私がしどろもどろしていると
彼は、グイッと私の腕を掴んだ。


「上がって。」


一瞬…躊躇したが


私は、お邪魔する事にした。






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*

この家に上がるのは…久し振り。

懐かしい家の匂いに
胸の奥から…
何かが込み上げてくる。

昔は、しょっちゅう
遊びに来てたけれど

諒太に彼女が出来てからは
用事があっても
行くのは玄関先までで

家の中に入る事はなかった。


「俺、今宿題やってたから
部屋に戻るけど…

俺のの部屋いく?

それともリビングで待ってる?」


「え?…あ、、どうしよう。」


意味もなく1人で居間にいたら…

変だよね?

そもそも…

用事も無いのに
待ってるなんて…

何の考えも無しに上がった事を
ちょっぴり後悔する。

私は、チラリと雄大の顔を見た。


「雄大の部屋…行っていい?」


とりあえず、雄大に用事があって
上がった事にしよう。

そんな浅はかな考えだった。


「いいよ。

構ってあげられないけど(笑)」


「別に構ってもらおうなんて
思ってないし!」


私の言葉に、ははは…と笑う彼。


「じゃあさ、一緒に勉強する?

宿題あるんだろ?

わからない所、教えてやるよ。」


「本当?

じゃあ、勉強道具持ってくる!」


タタタっと、階段を降りて
玄関を出た。

急いで家から勉強道具を持って
外に出ると
丁度、諒太が帰ってきたところだった。


「あ、まゆ!」

「……諒太!」


諒太の姿を見ただけで
ドキン…とする私。


「えっと…雄大に宿題をね…」


言い訳をしようと思って
モゴモゴしていると

私の言葉なんて
まるで聞いていないようで


「丁度良かった!来いよ!」

「えっ?」

グイッと腕を引っ張られ
そのまま家に入れられた。


「ちょっ…諒太?」

「お前に見せたいものがある。」

「え?…何?」

「いーから!」


諒太に言われるがまま
二階に上がり
私は、彼の部屋に向かった。




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*

カチャリ…

諒太の部屋の扉が開く。

彼女が出来るまでは…
よく出入りしていたけれど

中に入るのは
どれぐらいぶりだろう?


「ちょっと適当に座っ待ってて!」


そう言うと
諒太はクローゼットを開けて
何やらガサガサやり始めた。

部屋を見渡すと
乱雑に雑誌や漫画が
置いてあって

相変わらずだなぁ…と
思わず笑ってしまう。

家具の配置も
部屋の中身も

憧れのサッカー選手のポスターも

殆ど…私が覚えている状態と
変わりはなかった。

けれども、そんな中…


2つほど…
見慣れないものがあった。


私が、それをぼーっと見ていると


「ん?ああ、それね

美優が作ってくれた。」

机の上に置かれた
必勝と書かれたハチマキをしている
可愛いぬいぐるみ。


そして

楽しそうに写っている
2人のツーショット写真。


「写真飾ってあるなんて…

ラブラブだね。」


何だか胸が苦しくなり

思わず…嫌みともとれる
言い方をしてしまう。


「あぁ、、それは、、

美優が写真飾れってウルサいから。」


諒太にしては
珍しく言い訳のような発言。

別に…言い訳なんてしなくていいのに。


しばらくすると
諒太は、テーブルの上に
どーーーんと漫画を置いた。 


「この漫画さ、結構古いんだけど
友達に借りたらハマっちゃってさ…

もう、笑えるし泣けるしで
サイコーなんだよ!!
思わず、古本屋で大人買いしちゃった(笑)

お前に貸してやる!」

「見せたいものって…これ?」

「そうだけど?」


私のリアクションに
首を傾げ
不思議そうな諒太の顔。

お前に見せたいものがある…なんて


妙に期待してしまって
バカだったな…と
思わず笑ってしまう。

「ありがと。借りていくね。」


漫画を持ち
早々に部屋を出ようとすると


「もう帰っちゃうの?」


子犬のような顔で
引きとめられた。





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*

「もうって…

雄大に宿題見てもらう約束してて…」

 
本当は、諒太が帰ってくるのを
待つための時間稼ぎだったのだけど…


「そんなんいいじゃん!

久し振りに来たんだからさ…

俺、兄貴に言ってくるよ!」


「えっ?」


私が何を言う間もなく
諒太は、雄大の部屋に向かった。


この人は…いつもこうだ。

自分のペースで…ちょっぴり強引。


でも…


そういう所が憎めない。


直ぐに戻ってくると思った諒太は
雄大と話し込んでいるのか
なかなか戻ってこなかった。


どうしたのかな?


彼を待っている間
再び…部屋を見渡す。


「まったく、、、


相変わらず汚いなぁ、、」


突然来たとはいえ
足の踏み場もないぐらいの部屋。

でも、ブツブツ言いながらも
彼の部屋にいるのが嬉しくて。

私は…少し部屋を片付け始めた。


彼女の写真や
彼女のプレゼントを見て
ちょっぴりモヤモヤしけれど

なるべく気にしないように…

なるべく見ないように…


ところが…


私は…部屋の片隅に
隠してあるように置かれた
ある物を…見つけてしまった。


その瞬間…ドクンと
大きく心臓が脈打った。


見ちゃダメ…


そう思いながらも
目をそらす事が出来ない。


恐る恐る…手を伸ばし
緊張しながら…手にとってみる。


その瞬間
何とも言えない…気持ちになった。


「ヤだ、、、、、」


疑問が確信に変わり…


目の前が…真っ暗になった。





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*

その“モノ“を見た瞬間
私はショックで
いてもたってもいられなくなり

諒太の部屋を飛び出した。


「ゴメン…!!

急用思い出したから帰るね!」


雄大の部屋のドアに向かって
私は…大声で叫び
ダダダ…っと、階段を駆け降りた。


イヤだ…イヤだ…イヤだ…!!


泣きそうな気持ちを必死に抑え
思いっきり走り、自分の部屋に戻った。


ベッドにドサッとなだれ込み
拳をギュッと握りしめる。


我慢したけれど
堪えきれなくなり…涙が溢れる。


彼の部屋で見つけたもの…


それは…




コンドームだった。


2人のラブラブ写真や

彼女からのプレゼントも
ショックだったけれど…

こんな…生々しいもの


見たくなかった…。




わかってる


そんな事わかってる。


付き合っているんだもん。


キスとか…Hとか…


そんなの…してるの当たり前。


健全な男子高校生だもん。


わかってたけど、、、、



「やっぱり…

直接見ちゃうとショックだよ、、、」


ポタポタと溢れる涙。


拭いても拭いても止まらない。


「もう…ヤだ……」


諦めなきゃ…


いつも思っていた事だけど


この時のショックの大きさは


そんな気持ちを
後押しするほどの


物凄い…威力だった。






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*

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