家を出ると
雄大は握っていた私の手を
パッと離した。
「とりあえず、散歩でもするか。」
今は…家にいたくないので
私は黙って頷いた。
辺りは真っ暗で
夏場だというのに
空気がひんやりとしていた。
雄大の後ろを
重い足取りで歩く私。
泣きたい気持ちを我慢するため
私は、唇を噛み締めた。
私のそんな様子に
気づいているのか
雄大は黙ったまま
私の少し前を
スタスタと歩いていく
私は、何も考えられず
彼の足下を見ながら
そのままついていった。
しばらくして、近所の公園についた。
「とりあえず、座ろうか。」
ベンチの前で
雄大は立ち止まり
くるりと振り向いた。街頭で照らされた私の顔を見るなり
ふぅ~と、息をついた。
「気持ちを隠すならさ…
もう少し…うまくやらないと。
諒太はともかく…美優ちゃんだって
不信がるよ?」
雄大の一言に
胸がチクンと痛む。
わかってるけど…
気持ちがコントロール出来ない。
2人が付き合っているのは
わかってるけど…
目の前で
2人一緒いるところを見ると
やっぱり苦しい…
私が下を向いて固まっていると
雄大は私をそっと抱き寄せ
頭をそっと撫でた。
「お前って…本当に不器用だよなぁ。
ま、そーいうとこ…憎めないけど。」
彼のその一言に
我慢していた気持ちが溢れ出し
涙がぶあっと出てきた。
泣いている私の背中を
彼は、何も言わずに…
ひたすら撫でてくれた。
下手な言葉を貰うよりも
ただ、黙って
そばにいてくれた彼の行動に
私は、物凄く救われていた。
*