*咲希のお話部屋*

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『いい女の条件~彼から学んだ事』
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2019年01月

パタン…





諒太が部屋から出て行くドアの音で
ハッと我に返った。

何が起こったのか
頭が混乱していたものの

先程の光景が
脳裏に少しずつに浮かんで来る。




キス…された…


ベッドから起き上がり
震える指で…そっと唇に触れた。

まだ少し残っている
温もりの余韻


夢…じゃない


今、この場所で起こった現実が
とても信じられなくて

必死で鎮めようとするものの
心の奥底から
何かが…溢れてきて
ドキドキが止まらない


次第に現実だったのだと
実感がわいてきて

想像しただけで
顔から火が出そうになった。


諒太も、今…


私と同じ気持ち…なの?


嫌いな人には…キスなんて…しないよね?


心の中に沸き起こる
一つの決心。



諒太に自分の気持ちを伝えたい…


きちんと謝って


今までの秘めた思いを
きちんと伝えたい…


言葉では語り尽くせないほどの
深く溢れる思い…


それはきっと


世界中の誰にも
負けないつもりだから…




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*

どれだけ泣いただろう?



泣き疲れて…

身体が鉛のように重たく
思うように動かなかった。

一階から、『ご飯だよ~!』と
母からの声が聞こえる。

けれども、食欲もなくて
私は、ベッドにうずくまっていた。



しばらくすると


誰かが階段を上ってくる足音が聞こえた。


その音は、ドアの前で消え
静かになった。





コンコン…


『まゆ…ご飯だってよ。』


ノック音と共に
ドア越しに聞こえた…諒太の声。


『さっきおばさんから連絡あって…
雄大も来てる。

皆で一緒に食べようぜ。』


あわてて涙を拭き
顔を整える。



今…諒太に合わせる顔がない。



絶対にムリ…



『まゆー、入るぞ。』


カチャリとドアが開いた。

そんな私の気持ちなど
わかる筈もなく

諒太は私の返事を待たずに
部屋に入ってきた。

どうしよう…と、思ったものの
硬直して思うように身体が動かない。

ドクンドクンと脈が上がり
全身が心臓になったみたいだった。


『まゆ…寝てるの?』


ベットに転がり動かない私を見て
そう思ったのだろうか?

諒太が近づいてくるのがわかり
思わず身構える。


『おい…起きろよ…』


軽く身体を揺さぶられた。

ここで起きる訳もいかず
私は、寝たふりを続けた。

しばらく揺するも
私が起きる気配がないとわかると


『熟睡かよ(笑)』


諒太のクスッと笑った声。


その声に…胸が…キュンとなる。




好き…




大好き…




心の中で、何度も叫ぶ。



さっきは、ごめんね。



今ここで起きて
きちんと伝えられたらいいのに…

素直になれたらいいのに…


どうしても勇気が出せなくて
動けないダメな私。


そのままじっと息をひそめ


諒太が部屋から出ていくのを
静かに待とうと思った。


ところが、彼はいつまで経っても
なかなか出て行こうとはしなかった。
 
まさか…私が起きるまで待つつもり?

次第に寝たふりも辛くなり
変な汗が出てくる。


どうしよう…


そう思った瞬間


突然、諒太の指が
私の頬に触れた。



諒太…?



彼のその行動にドキッとして
更に脈があがっていく



何…してるの?



そう思った瞬間



鼻先に感じる…優しい吐息と共に



唇に…



微かな温もりが伝わってきた。



瞼は完全に閉じているのに


目の前に彼の顔があるのが
はっきりとわかる。






諒太……どうして?



突然の出来事に


 
頭が混乱して


 
思考回路が…完全にストップした。






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*

ほんの少し間があって
諒太は口を開いた。


『うん…そうだよ。
さっきの子だよ。』


その一言に…

何とも言えない気持ちになる。


『……付き…合うの?』


ギュッと握った手の中が
汗で濡れてくる。

脈がどんどん上がっていくのがわかり

必死で抑えようと
ゆっくり深呼吸した。


『いや、別に…
そんな話になった訳じゃねえし、、

でもまぁ~
可愛い子だよな(笑)』


その顔は、とても嬉しそうで

何だか、意味ありげな顔で
私を覗き込み
フフッと笑いながら話すから

不安でありながらも
段々イライラしてくる。

『何か、鼻の下伸ばしちゃって、
バカみたい。

諒太の事を好きになるなんて
物好きもいたもんだね!』


あまりのショックに

そんな事…思っていないのに

つい、憎まれ口を叩いてしまう。


『おい!!それ、どーいう意味だよ。』

少しムッとした顔の諒太。


徐々に、その場の空気が悪くなり


何とか修正しようにも

ブレーキがきかない。


違う…そうじゃない、、、


そんな事言いたいんじゃないのに、、、


もう、、、止まらなかった。



『…別に…

そのまんまの意味だよ!!』


思わず声を荒げると

諒太は、とても驚いた顔をした。




その瞬間…


自己嫌悪に陥り


私は、いてもたってもいられなくなった。


『…あたし…先に帰る』


どうしてもその場にいたくなくて
走ってその場を逃げ出した。


『おぃ!!まゆ!!!』


後ろから、諒太の声が聞こえる。



『待てよ!!!』



けれども


私は、無視をして

後ろも無理向かずに…走った。


『…サイッテーー!!』


独占欲と嫉妬の塊の私…


醜い…私。


どうして素直になれないのだろう?


あんな風に言われたら


誰だって、嫌な気分になるのに、、、


情けなくて、悲しくて


涙がポロポロ溢れ出す。


『もう…諒太に合わせる顔が無いよ、、、

どうしよう、、、、』


家に帰るなり


私は、ベッドにうずくまり


声を上げて…泣いた。




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*

『…あ……えっと、、、、』


急に話を振られ
必死で頭の中を整理する。


聞かなきゃ…


そう思うのに…怖じ気づいて
私は口を閉ざした。


『おい~まゆ??どうしたんだよ~?』


いつも通り
少しおちゃらけた笑顔で
ケラケラと笑う。


私は、拳をギュッと握り
勇気を振り絞った。


『あの…さ、、、諒太』


『ん~?』


『…最近…女の子に告白されたって…


本当?』


『えっ?』


私が言った瞬間


さっきまでのおちゃらけた顔が一変し
急に真顔になる。


『…雄大に聞いたの?』


『…うん。諒太が浮かれてたって。』


『あいつめ~~!!』


少し怒った声で、舌打ちをした。


『本当なの?』


私が更に詰め寄ると


彼は、少し困ったような顔をした。


『別に…告白とか…そんなたいそうなもんじゃねぇよ。』


『どういう意味?』


『ただ…話の流れで…好きって言われただけで…

返事を求められた訳でもねぇし。』


『……そう…なんだ、、、』


例え、話の流れだったとしても


諒太に思いを告げた人は
本当にいた。


その事実だけが…重くのしかかる。


『…さっき、、、一緒にいた子?』


真剣な顔をして
じっと諒太を見つめると


『もしかして、妬いてるの?』


ちょっぴりからかうように
おどけた顔で、私を覗き込む。


『別に…そんなんじゃないもん!』


めちゃくちゃ恥ずかしくなって
私はぷいっと横を向いた。


『まゆは、可愛いなぁ~(笑)』


クスクスと笑う諒太。


恥ずかしくて…顔が熱い。


何で、、、そんな風にからかうの?


半分、涙目になりながら


『…ねぇ…答えてよ。』



私は静かに言った。






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