*咲希のお話部屋*

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現在エブリスタにて

『いい女の条件~彼から学んだ事』
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2018年12月

彼に対するイメージが
少しずつ変わっていく

クールな顔をしたかと思えば

甘々な態度と言葉で
人を翻弄させ

あまり他人に興味が無さそうなのに
人の話を聞いてきたりする。

ガチガチで
少し遠慮がちだった私の心も

彼の雰囲気と優しさに

気付けば…『嫌じゃない』から

『楽しい』とさえ
思えるようになっていった。

幸せな気持ちで食事を終え
リビングで少しくつろいでいた。

リラックスし過ぎたのか 
満腹感のせいか
突然、猛烈な眠気に誘われた。


眠そうな顔で目をこすっていると


「眠い?」

彼が聞いてきた。

「うん…ちょっぴり眠いかな。」

「ベッド…行く?」

「えっ?」


眠いながらも
ベッドという言葉に反応してしまう私。

先日見た諒太のゴムを思い出し
何だかよからぬ事を想像して
アタフタしていると

そんな私の心を読んだのか
クスクスと笑い出す彼

「…ヘンな事考えてる?」

まるでイタズラっ子のような
目つきで、ニヤニヤするから

猛烈に恥かしくなって
顔を真っ赤にしながら
「違う!」と、反論した。

そんな私を見て、再び大爆笑の彼。

完全にからかわれてる、、、、


ちょっぴり腹が立ってむくれていると

彼は、ゴメンゴメンと言いながら


「まぁ、何もしない保証は出来ないけど
少し一緒に寝ようか。」


そんな意味ありげな言葉を言いながら


私の手をとった。




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*

序盤、彼に翻弄されてしまったけれど

いざ、テスト勉強が始まると
彼は、真剣に取り組んでいた。

私の手が止まった事に気付くと
声をかけてくれる彼

「大丈夫?わからないとこある?」

必要以上、殆ど会話を交わす事はなかったけれど、おかげで勉強に集中出来た。

一段落して、晩御飯にしよう
…という話になった。

キッチンに向かうと
お鍋の中に野菜スープが入っていた。

「昨日ね、オムライスに合うように作った。」

「ありがとう。」と、私が言うと
ちょっぴりはにかんだ顔の彼。

こんな顔もするのかと
驚きながらも、つられて笑顔になる。

「私、作るから座って待っててね。」

「俺も手伝おうか?」

「いい、人が横にいると
プレッシャー感じるから。」

「了解」

慣れないキッチンと格闘しながら
頑張って、何とか完成させた。

料理は、自慢じゃないけど結構得意だ。

諒太達が、我が家で食事をする機会が多かったので、彼に食べて貰いたくて

必死に勉強して
母の手伝いをしていたから。

いつも
『うまいうまい!まゆの料理サイコー!』
と、素直に喜んでくれた諒太。

でも、まずい時は
ハッキリ『イマイチだな』と
厳しい評価もされて。

正直、カチンとくる事もあったけれど

絶対に残さずに
いつもガツガツ食べてくれたっけ…



純平は…


一体、どんな反応をするのだろう?

ほんの少しの緊張と期待の中
調理したものを彼の前に出した。

両手を合わせ「頂きます!」と言うと
彼は静かに食べ始めた。


育ちがいいからなのだろうか?

とても…上品な食べ方。

顔が格好いいから
何だか…とても絵になるな

そんな事を考えながら
頬杖をつき、ぼんやりと彼の反応を待つ。

彼は、何口か食べると私の方を向き
「物凄く美味いよ。」と、言った。

「本当?」

「店で出せるレベルだな、これ。
こんなに美味しいオムライス
久し振りに食べたよ。」

物凄く嬉しそうな彼の笑顔に
思わず顔がほころぶ。

こんなに喜んで貰えるなんて、嬉しいな…

そんな事を考えながら
彼を見つめていると

「ほら、まゆも食えよ!」

彼が、私の口元に
ライス乗せたスプーンを運んできた

あーんして!と、ジェスチャーする彼。

突然の事に固まってしまい
目を大きく見開くと

彼は「早く」と、目で合図した。

躊躇しながらも…ゆっくり口をあける。

その瞬間、やや強引ぎみに
彼にスプーンを押し込まれ
ライスが口に入ってきた。

「な、ウマイだろ?」

「……うん。」

モグモグと噛み締めているのに
動揺しているのか
味がちっともわからない。

物心ついてから
人に食べさせて貰うなんて初めてで

慣れないシチュエーションに


再び…


全身が熱くなった。





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*

人の温もりは好きだ。


ほのかに香る…その人の匂い
柔らかい肌の感触


そして…


じんわりと伝わってくる…熱


どんなに心が乱れていても
落ち着いてくるから不思議


彼の事は、まだ殆ど知らないけれど


私は、彼の温もりに救われていた。


今日、この家に来てわかった事がある。


彼は…かなり
女慣れしているって事。

私を試すような質問をしたり
見透かしたような瞳で見つめたり

まるで私の反応を
楽しんでいるようにも…見える。


そんな彼に…私は振り回されっぱなし。


けれども…私は
そんな彼が、嫌だとは思わない。

決して無理じいはしないし

さりげなく…
私のペースに合わせ

こうやって
穏やかな気持ちにさせてくれるから。


《あいつは…女に本気にならない。》


《まゆが傷つくだけだ…》


ふと、雄大の言葉が脳裏によぎる。

その理由を
雄大が言わないと言う事は

きっと…人には知られたくないような
複雑な過去があるのだろう。

雄大が心配するように


私は

彼に振り回されて…
泣かされるのかもしれない。

辛い思いをするかもしれない。

でも、今の私は
そんな事はどうでもいいと思っている。


今、目の前にいる

『今』の彼を信じてみたいから。


私にだって
忘れられない過去はある。

誰にも言えない事

初めてのキスの事

ドキドキした思い出


そして


とても切なく、悲しかった思い出

今もなお…思い出せば
胸が痛み、呼吸が苦しくなる

鼻の奥がツンとなって
涙が溢れてくる

彼にファーストキスの話を振られ


あの頃を思い出し


…胸がきしんだ。






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*

「もしかして…キスとか


初めてだった?」


彼に質問され
私は首を横に振った。


「…そっか。」


「でも、、、

男の人と付き合ったのは…

沢木くんが初めて…だよ。」


私が言うと


「うん…何となくわかる。」


彼はそう言ってニコッと笑った。


「まゆの…そういうスレてないとこ

可愛い…って思うよ。」


可愛い…とか
面と向かって言われて
再び…身体が熱くなる。


「初キスの相手って、、、

ひょっとして諒太?」


「…それは…… 秘密」


「おぃ~!何だよ、それ(笑)」


「だって、誰にも言った事ない秘密だもん。」


私の言葉に、彼はフフッと笑った。


「まぁいーや。

それよりも…
いい加減、名前で呼んでよ。」


「えっ?」


「電話では、ちゃんと純平って
呼んでくれたのに、、、
もう、沢木くんに戻ってるし。」


「あ…ゴメン!」


「じゃあ…呼んでみて。」


まるで私の心を
見透かしているような彼の瞳

その優しい笑顔の奥に
何か…秘密があるように感じられて



妙に…惹きつけられる。



何を考えてるか全く読めないのに



彼の瞳に一度捕まると
どうしても逆らえない。


「……純平…」


彼の名前を口にした瞬間



再び…不意にキスされた。


「…………っ!」


おもいっきり驚き
後ずさる私の反応を見て

ゲラゲラと笑い出す彼。


「ゴメンゴメン…

何か…衝動的にしたくなって。」


「もう…信じられない!!

私…勉強しに来たんですけど?」


私がちょっぴりむくれると


「悪かったよ。」



彼はそう言いながらも手を伸ばし
再び、強引に私を抱きしめた。






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*

エレベーターを降り
緊張した足取りで彼の家へ向かう。

案内されて部屋に入ると

そこは、想像以上の広さだった。


ドラマに出てくるような
広く解放感のある大きな窓。

海外で調達したかであろう
お洒落なインテリア

普通の家の倍以上の大きさの
ソファーとテレビ


そして


広くてお洒落なキッチン。


「……凄い…広いね…」


綺麗に片付けられ過ぎていて
何だか…まるで生活感がない。


「ムダに広すぎて落ち着かないんだよ。

掃除も大変だし。

とりあえず、俺の部屋へ行こう。」


彼に誘導され
ドキドキしながら部屋へ向かう。


「入って。」


彼の部屋は
予想外にも普通の部屋で
少しホッとした。


普通と言っても
諒太の部屋とは違い
とても綺麗に片付けられていて
白と黒を基調とした
シンプルでお洒落な部屋。

よくよく見ると
オーディオも高価そうなものだし
インテリアも一つ一つが
こだわっているように感じられる。


とても同じ高校生とは思えなかった。


部屋にはミニ冷蔵庫があって
飲み物が沢山入っていた。


チラッと見えたけど…
アルコールも入っていた。


「オレンジジュースと烏龍茶
どっちがいい?」

「あ…じゃあ、烏龍茶で。」

ベッドの脇にチョコンと座り
烏龍茶を飲む。


すると、私の横に
ピッタリくっつくように
彼が座った。


あまりの距離の近さに
思わず…緊張が走る。


「えと…あの…勉強…を…」


テンパりながら 
必死で言葉を出すものの
彼の耳には全く入っていない様子。


彼は、真顔で私を見つめると
私の後頭部を掴み
一瞬のうちに、顔を引き寄せた。


お互いの吐息が感じられる程の
至近距離に彼の顔が近づき

今までに感じた事のない柔らかい感触が
唇からダイレクトに伝わっていく


あっという間に全身が熱くなり
鼓動が激しくなる。

彼は、ゆっくり唇を離すと
私をじっと見つめた。



「ゴメン……嫌だった?」



真っ直ぐ見つめられ
視線をそらす事が出来ない。


緊張して震える身体を
必死でごまかしながら
黙って首を振った。


…唇に手を当て
ゆっくり呼吸を整えるも
なかなか身体の震えが止まらない。


そんなガチガチな私を見て
少し困った顔の彼。



「これは違うの…そうじゃない。

自分でも何故震えてるのか、、、

わからなくて、、、」


どうしていいかかわらず
頭が混乱し
必死に弁解している私。


彼は、苦笑いしながらも
ゆっくり私を抱き寄せた。



「落ち着くまで…こうしてよう。」



ギュッと優しく抱きしめられて


最初はドキドキが
止まらなかったものの


少しずつ気持ちが
落ち着いていくのがわかった。





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