彼とのLINE のやりとりを終えてから
30分以上が経過していた。


こんな時間に…どうしたのだろう?

さっきLINE でやり取りしたし
明日、学校で会えるのに…


こんなタイミングで

こんな気持ちのまま
電話に出たら…


彼の声を聞いてしまったら…


私はきっと、泣いてしまう。


文字だけのやり取りなら
誤魔化せても

私の声を聞いたらきっと
カンのいい彼には
絶対に何かあったと、気付かれてしまう。


だから…出るのをためらった。


部屋中に通鳴り響く着信音


その音が
嬉しくもあり……切ない。


ごめん…純平


今は…出られないよ。


私は、布団にくるまり
耳を覆った。


今日だけ…

 
今日だけは…


冷静でいられる自信がないから


明日になったら
いつもの私に戻るから


少しだけ…


時間を下さい。


20コールぐらいして
電話は切れた。

きっと、もう寝たと
諦めてくれただろう。

これで良かったんだ。



これで……



布団の中で身体を丸めて
ぎゅっと目を閉じる。



すると



♪~♪~♪



ポップアップ画面で
既読にならないように
内容を確認した。


『今、勉強終わった。

何だかわかんねぇけど
無性にまゆの声聞きたくて、眠れねぇ。』

彼の言葉に
嬉しくて胸がいっぱいになる。


起きてるよ…


本当は


私だって
純平の声が聞きたくたまらない。


会って抱きしめて欲しい。


キスを……したい。


こらえていた気持ちが
抑えきれなくなり

衝動的に
電話を手に取ってしまった。


ダメ…


かけちゃ……ダメ。


頭ではわかっているのに
どうしても抑えきれなくなくて

震える指でドキドキしながら

コールしてしまった。


RRRR……RRRR


1コール


2コール


3コール


4コール


ドクドク上がる脈。

待っている間、極度の緊張感から
切ってしまおうか?


そう思った瞬間



「まゆ?」


純平の声が聞こえた。


「…………うん。」


「ごめん、起こしちゃった?」

「ううん…いいの。何かあった?」


なるべく平静を装いながら
あたかも寝ていたかのように
ゆっくりと話す。


「勉強し過ぎたせいか


眠れなくてさ… 
まゆの事、ずっと考えてた。」

まるで

眠れなかった私の気持ちを
代弁してくれているかのような言葉。


純平の気持ちが嬉しくて
思わず涙が込み上げる。


そして少しずつ

ホッとしたような
穏やかな気持ちが全身を駆け巡った。


「電話……嬉しい。

純平とだったら
何時までだって付き合うよ。」


彼の声に

モヤモヤしていた気持ちが
少しずつ消えていく

ありがとう

大好き……


彼と話しながら


心の中で、何度も何度も
そう思った。