※ 反社会的な行動や行為
性的描写が一部含まれます。
ご理解の上、お読みください。
       
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車に揺られ
いつの間にか、意識を失っていた。

目を覚ますと
見慣れない天井があった。

ぼんやりしながらも
少しずつ正気を取り戻し
恐る恐る…辺りを見回す。

目の前には
中身が空っぽの
乱雑に積み上げられたダンボール。

食べ散らかしたお菓子の袋と
空っぽのペットボトル

そして、ティッシの山

床は絨毯だけれど
冷房が効いているのか
物凄く肌寒い

掃除がされていないのか
髪の毛やお菓子のカスのようなものが
所々に落ちている

しばらくすると
どこからかカチッカチッと
何か音が聞こえた。


「奈津…さん?」


音のする方向へ視線を移すと

大柄な男がニヤニヤしながら
近づいてきた。

目が窪み
やつれているような顔なのに
息が荒く、異様な程に
ハイテンションな感じ。

そして

こんな涼しい部屋なのに
額には、物凄い汗をかいている。

明らかに…おかしいと思った。

何かを喋っているけれど

あまりの恐怖に
意味を理解する事が出来ない。


逃げなきゃ…


そう思うのに
足がすくんで動けない。

男は、ニヤリと笑うと
私の口を抑え押し倒した。


助けて……


そう思うのに


声が…出ない。


男は、服の上から
私の胸を乱暴に掴んだ。

思わず身体がえびぞり
苦痛に耐えかねて悲鳴を上げた。

そんな姿に興奮したのか
次第に男の呼吸は荒くなり
調子に乗って私の服の中に
手を忍び込ませてきた。

足をジタバタさせて抵抗するも
全く動く事が出来ず

ただ…気持ち悪い男の汗が
ポタリと落ちてくるだけだった。


「ちょっと待ってな。」


しばらくすると
男は、私の上に馬乗りになった状態で
何かを始めた。

私の目からは

死角で…何も見えない。


一体……何をしているの?


私は…何をされるの?


あまりの恐怖に
全身がガタガタと震えだす。


“ ギリギリの極限まで落とされて

それでも、綺麗事を言っていられるか

試してあげる。“


奈津さんの言った言葉が
脳裏をよぎる。

しばらくして

男は、だまったまま
両手で私の顔を抑えた。

そして、徐々に顔を近づけ
ヌルついた分厚い唇で
私の口を覆い
ふぅ~っと、何かを吐き出した。


「……ぃ…ゃ……」


抵抗したいのに

恐怖の為なのか
意識がまだ
はっきりしていないせいなのか

声はおろか
身体が思うように動かない。


どうしよう


どうしよう


気持ちは焦るのに
パニックでどうする事も出来ない。

あたし…このまま

ここで犯されるの?


それとも…


殺される?


純平……助けて


怖いよ


ぐにゃりとなった自分の身体は
どうにもならなくて

ただ……相手の思うままに

人形のように
身体を弄ばれていた。


これは……夢?


あまりのショックに
頭の限界値を超えてしまったのか

現実逃避なのか

途中から、そんな風に思えてしまって


辛いとか

悲しいとか

そんな感情すら
麻痺してきていた。

ごめんね…


純平……


ごめんなさい……


もうこのまま…


消えて無くなりた…い……よ…


薄れゆく意識の中で
そう思ったとき

バーンと大きな音が
部屋中に響き渡った。


「まゆ!!」


聞こえたのは


……剛の声だった。






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