自分の部屋に入り
部屋の片付けをする。
意味がないのはわかっているけど
諒太が来るからと
念入りに髪を整え、軽くリップをし
お気に入りの服に着替えた。
台所へ行くと
母親が鼻歌を歌いながら
弟の直哉と晩御飯の準備をしていた。
「あれ?直哉…今日は早いね?」
「テストだったから午前中だったの。
てか、姉ちゃん手伝ってよ~!
俺、受験生なのに手伝わされてるし。」
「どうせ、部屋に戻っても
漫画やゲームでしょ?」
「そうそう!」
母が、笑いながら同意した。
「えー?そんな事ねぇし!」
直哉は反論したものの
図星を突かれたようで、苦笑いをした。
我が家はいつも
お寿司と言えば巻き寿司なのだけど
今日は何故か、母の気まぐれで
にぎり寿司だった。
「にぎり始めて後悔したよ~
こんなに大変だと思わなかった。」
ちょっぴり困った顔の母。
「母ちゃんって、本当に計画性ないよな。」
「ウルサい!さっさと、握る!
まゆは、そっちのネタ
包丁で切ってくれる?」「は~い!」
我が家はいつもこんな感じ。
おちゃらけた弟と
肝っ玉系で、フレンドリーなお母さん。
穏やかで優しい父。
自分で言うのもなんだけど
とても恵まれて
幸せな家庭だと思う。
そして、今日は
好きな人がやってくる。
彼女がいる人なのに
胸が高鳴っている私は
本当にバカだと思うけれど
嬉しい気持ちを
抑える事が出来なかった。
*